地獄の女狐





リサヴィクセン(119)はスタート近くの繁みの中にいた。
(Hu…… エージェント一生ものの不覚ね)
寝ている間に全く知らないところに連れて行かれるとは。
はっきり言って殺された所で文句は言えない。
しかし……これは……
あの兎が言っていた事を信じるならこのゲームで生き残れるのは一人だけ。
そしてこの殺し合いの主催者は『色々と期待している』と。
こんな馬鹿げた事を楽しむ者の名を彼女は一人だけ知っていた。
そしてこんなことが出来そうな者も他にはいなかった。
(……篁)
篁はこのゲームに参加していた。
参加者として。
そして、一人だけ生き残れる。
考えれば考えるほどに符合する。
(宗一がいて……醍醐がいる……)
もしこれが本当に篁のゲームであれば醍醐は出会う端から殺すだろう。
いつも持っている武器は全て無くなっていた。
隠し武器までもだ。
手に入ったものは恐らく鉄芯の入ったウッドトンファー。
このゲームで生き残るためには主催者をどうにかしなければならないだろう。
しかしこの装備で篁に太刀打ちできるとは万に一つも思えない。
(何とか宗一に会って協力を仰がないと……)
宗一がこんなゲームに参加するとは到底思えない。


(それにしても……酷い事を……)
このリストを見る限り、同姓のものがかなりいた。
伊吹……来栖川……姫百合……古河……特に柏木……
(家族で殺し合わせると言うの?)
柏木なんて五つも在る。
家族を一つ丸々連れてきたのだろうか。
(篁っ……!)
許せない。
こんなことをして高みから哂っているなんて、絶対に許せない。
(パパ……ママ……今からそっちに篁を送るから……)
地獄の女狐が、動き出した。




リサヴィクセン
【時間:一日目正午頃】
【場所:E-08】
【持ち物:デイパック、鉄芯入りウッドトンファー(ランダムアイテム)】
【状態:篁を主催者と考えている。殺し合いの意思は無い。が、狙われる身である事は常に考えている。宗一を探す】
【その他:実際の主催者は書き手さんに任せて】
-


BACK