危険承知のSOS信号




「殺し合いか……ふん。くだらんな」
高槻(062番)は面倒臭そうに言葉を吐き捨てた。
「だいたい120人もの人間を集めて殺し合いをさせるという参加者の理由がわからん」
ぶつぶつと愚痴を吐きながら高槻は林の中を前へ前へと進んで行く。

(しかも支給品は熊のぬいぐるみときたもんだ。
まったく、ナイフや銃とかなら少しはやる気が出たものを………)
そう思いながら彼は自分のバッグから顔を出している大きな熊のぬいぐるみを見た。

「これでは暇つぶしも………むっ!」
その時、彼は人の声を耳にした。
(―――早速敵さんのおでましか?)
高槻は木影に身を隠すと耳をすませる。

(人が二人……一人は子供。もう一人は女か………)
これならこっちにも勝機はある。
女とガキが相手なら油断しないかぎりまずこっちがやられはしない。
そう判断した高槻は影を潜めながら声の方へ近づいていった。


「誰かー!」
「手を貸してくださーい!!」
小牧郁乃(044番)と立田七海(065番)は片輪が溝にはまってしまった車椅子に悪戦苦闘していた。
車椅子の左のタイヤは木の根と根の間にジャストフィットとばかりに挟まっていた。
それなりの力さえあれば抜けるだろうが、体の弱い郁乃と子供の七海との力ではタイヤはまったく抜ける気がしなかった。
そのため、二人は近くにいるかもしれない第三者に助けを求めていたのだ。


「なんという馬鹿だ…
あれでは敵に居場所をさらしているようなものだ」
その様子を見た高槻は目の前の二人組の無能さに呆れ果てた。
(見たところ、どちらもまともな武器は持ってなさそうだな…)
重器や刀剣類を持っていたら素人の体の重心は傾く。
二人は重心がやや傾いてはいるが、あれはバッグの中の水と食料などの重みによるものだろう。
(――だが、拳銃やナイフの類を保持している可能性は否定できないな。しばらく様子を見るか。
それに………)

「誰かー!」
「お願いしまーす!」

(見ているだけでもいい暇つぶしになる…)
まだまだ発育途中だが、どちらもいい体付きだしな、とも思いながら高槻はくっくっくと笑った。




 高槻
 【時間:1日目午後2時過ぎ】
 【場所:D−07】
 【所持品:熊のぬいぐるみ(やや大きめ)、他支給品一式】
 【状態:普通。しばらくは様子見】


 小牧郁乃
 【時間:1日目午後2時過ぎ】
 【場所:D−07】
 【所持品:支給品一式(支給アイテムは後の書き手さんに任せます)、車椅子(左片輪が溝にはまっている)】
 【状態:やや疲労。悪戦苦闘】


 立田七海
 【時間:1日目午後2時過ぎ】
 【場所:D−07】
 【所持品:支給品一式(支給アイテムは後の書き手さんに任せます)】
 【状態:やや疲労。悪戦苦闘】
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