道を歩く古河秋生(093)はひどく興奮していた。 彼に与えられた武器がS&W M29――マグナム拳銃だったからだ。 もっとも、彼が喜んでいる理由は「殺し合いで有利だから」ではなかったのだが。 「日本でこんなモンを持てるなんてよ……」 秋生は足を止めて銃を手に取り、その危険な重さをもう一度堪能した。 そして右手側にある木立に向かって構えると、 「お前に……レインボー」 決め台詞を言って引金を引いた。 ドンッ! 「うおお……」 肩を襲う予想以上の反動。 モデルガンでは体験できない実銃の衝撃だった。 「こいつぁ、体のどこに当たっても……死ぬな」 こんな物騒なものを持ち歩いてよいのか、秋生はためらいを感じた。 しかし、結局はベルトに銃を差し込み、最愛の妻と娘を探して再び歩き出した。 そう、愛する家族を守るために時には“力”も必要なのだ。 ……面白い玩具を手放したくないという気持ちもほんの少しだけあったけど。 「ううう……」 そんな呻き声がして、マグナム弾に大穴を開けられた木からハラリと布が剥がれ落ちた。 ドサリ。 木の根元に崩れた体は河島はるか(027)だった。 027 河島はるか 死亡 【死体の側にリュック、忍者セット(布に穴が開いたので「木遁の術」は使用不能)】 093 古河秋生 【時間:1日目午後12時30分ごろ】 【場所:D-07 スタート地点(鎌石小中学校)の近く】 【持ち物:S&W M29(残弾5発)、他支給品一式】 【状態:興奮気味。渚と早苗を探して移動中】 - BACK