「はぁ…はぁ……」 佐藤雅史はスタートしてバッグを手にすると、まずはただ一直線に走り出していた。 (ここが本当に島なら、まっすぐ行けば海に出るはずだ。海じゃなくてもどこか安全な場所に着くかもしれない) まずは自身の安全を確保する。これから先、どうするかはその後に考えようと最初に判断したためだ。 (確かこの殺し合いの参加者は僕を入れて120人だったな…… もしかしたら浩之たちもこのゲームに参加させられているかもしれない) そう思った雅史は早速バッグを開けて参加者名簿を取り出そうとした。 がその時、なにやら長いものがバッグの中に入っていることに気がついた。 (これは……) 雅史が取り出したそれは、金属バットだった。 (これが僕に与えられた武器ってことか) 雅史は金属バットをぎゅっと握ると、再び考えてみた。 (まてよ……参加者は120人。生き残れるのは1人。すなわち、僕が生き残れる確率は120分の1だ。僕だけじゃなくて、これに浩之、あかりちゃん、志保を入れても120分の4。つまり30分の1だ。 そのことを考えると、まず僕らが生き残れる可能性は極めて低い。むしろないと言ってもいいかもしれない。 それなら、僕ができることはせいぜい………) 雅史は走るのを止めて考えてみた。 そして、最終的にひとつの結論にめぐり着いた。 ―――助けるべき人は助けて、倒すべき敵は倒す それが雅史の答えだった。 自分を犠牲にしてでも、それにより最終的に誰かが救われるならそれで良い……… それは、このゲームにおいては只の甘ちゃんな考えでもあり、逆に恐ろしい考えでもあった。 だが、それでも雅史は完全にゲームに乗る気はなかった。 自分のためではなく、守るべき誰かのために雅史は惨劇に挑むのだから……… (まずは人がいそうな場所を探そう。そして人がいたらまずは話合ってみよう。 それでもダメなら戦うしかない……僕が生き残るためじゃなくて、誰かが生き残るために………) 雅史はもう一度金属バットを握ると、再びその場から駆け出した。 佐藤雅史 【時間:1日目午後12時半過ぎ】 【場所:G−04】 【所持品:金属バット、他支給品一式】 【状態:普通。第1優先目標・人を探す】 【その他:雅史編1話】 - BACK