(なんやろ……これは……) 姫百合珊瑚(086)は椅子に縛り付けられながら考えていた。 (なんで……殺し合いなんて……) 先刻の説明が頭から離れない。 (ひとり……だけ……) その言葉を聴いたときから、彼女は自分の妹を守ろう、と決めた。 みんなで生き残ろう。 がんばって考えて、みんなで生き残ろう。 でも、それがどうしてもダメやったらせめて瑠璃ちゃんだけでも…… 先程、スタート地点から瑠璃ちゃんは一番最初に開放された。 彼女にとってとても運の良い事に、瑠璃ちゃんも同じ所にいた。 瑠璃ちゃんがいてくれれば、瑠璃ちゃんを守れる。 うちに何か出来るかはわからんけど、瑠璃ちゃんの盾に位ならなれる…… だから、はよ出して…… じりじりと時間が過ぎていく。 4……5……6……未だ出してもらえない…… こうしてる間にも瑠璃ちゃんが遠くに行くかもしれへんのに…… 7……8!来た! 急いで飛び出す。 ドアを閉めるのももどかしく、デイパックの中身を確認する。 (……レーダー) どの番号がどの光点かは確認できないが、かなり瑠璃ちゃんを探しやすくなる。 そして、一番近くにある光点を警戒と期待を交えながら建物を飛び出す。 「さんちゃん!」 最も愛しい人が木を駆け降りながら彼女の名を呼ぶ。 「! 瑠璃ちゃん!」 良かった。 でもここは未だ安心できない。後ひとり、出て来る。 「さんちゃん、はよ逃げよ!」 「にげる? にげるってどこに?」 「あっち!上から見とったけど、あっちには誰もいっとらんかった!」 「うん!」 あっちには確かに誰もいなかった。 「さんちゃんはうちが守ったるからな!」 「……瑠璃ちゃん……ありがとな……」 うちも、絶対瑠璃ちゃんを守ったるからな…… 姫百合珊瑚 【時間:一日目11:50頃】 【場所:スタート地点2(F-08の無学寺)】 【持ち物:デイパック、レーダー(ランダムアイテム)】 【状態:健康、決意】 - BACK