第三話 姉妹愛〜姉〜




(なんやろ……これは……)
姫百合珊瑚(086)は椅子に縛り付けられながら考えていた。
(なんで……殺し合いなんて……)
先刻の説明が頭から離れない。
(ひとり……だけ……)
その言葉を聴いたときから、彼女は自分の妹を守ろう、と決めた。
みんなで生き残ろう。
がんばって考えて、みんなで生き残ろう。
でも、それがどうしてもダメやったらせめて瑠璃ちゃんだけでも……


先程、スタート地点から瑠璃ちゃんは一番最初に開放された。
彼女にとってとても運の良い事に、瑠璃ちゃんも同じ所にいた。
瑠璃ちゃんがいてくれれば、瑠璃ちゃんを守れる。
うちに何か出来るかはわからんけど、瑠璃ちゃんの盾に位ならなれる……
だから、はよ出して……
じりじりと時間が過ぎていく。
4……5……6……未だ出してもらえない……
こうしてる間にも瑠璃ちゃんが遠くに行くかもしれへんのに……
7……8!来た!
急いで飛び出す。
ドアを閉めるのももどかしく、デイパックの中身を確認する。
(……レーダー)
どの番号がどの光点かは確認できないが、かなり瑠璃ちゃんを探しやすくなる。
そして、一番近くにある光点を警戒と期待を交えながら建物を飛び出す。
「さんちゃん!」
最も愛しい人が木を駆け降りながら彼女の名を呼ぶ。
「! 瑠璃ちゃん!」
良かった。
でもここは未だ安心できない。後ひとり、出て来る。
「さんちゃん、はよ逃げよ!」
「にげる? にげるってどこに?」
「あっち!上から見とったけど、あっちには誰もいっとらんかった!」
「うん!」
あっちには確かに誰もいなかった。
「さんちゃんはうちが守ったるからな!」
「……瑠璃ちゃん……ありがとな……」
うちも、絶対瑠璃ちゃんを守ったるからな……




姫百合珊瑚
【時間:一日目11:50頃】
【場所:スタート地点2(F-08の無学寺)】
【持ち物:デイパック、レーダー(ランダムアイテム)】
【状態:健康、決意】

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