第二話 姉妹愛〜妹〜




(なんなん? これは……)
姫百合瑠璃(086)は一人木に上って考えていた。
(なんで……殺し合いなんて……)
先刻の説明が頭から離れない。
(ひとり……だけ……)
その言葉を聴いたときから、彼女は自分の姉を守ろう、と決めた。
最後には自分が死ねばさんちゃんは生き残れる。
貴明も、イルファもわかってくれる……
きっと、わかってくれる……



先程、スタート地点から瑠璃ちゃんは一番最初に開放された。
彼女にとってとても運の良い事に、拘束されている中に姫百合珊瑚(085)はいた。
出て来る所が同じやから、ここにいればさんちゃんに会える。
他の人が出てくる人を待ち伏せしてもここなら分かる。
だから、はよ出てきて……
じりじりと時間が過ぎていく。
4……5……6……未だ来ない……
幸い待ち伏せを画策するものはいないようだ。
7……8!来た!
「さんちゃん!」
木を駆け降りながら彼女の最も愛しい人の名を呼ぶ。
「! 瑠璃ちゃん!」
良かった。
でもここは未だ安心できない。後ひとり、出て来る。
「さんちゃん、はよ逃げよ!」
「にげる? にげるってどこに?」
「あっち!上から見とったけど、あっちには誰もいっとらんかった!」
「うん!」
「さんちゃんはうちが守ったるからな!」
「……瑠璃ちゃん……ありがとな……」




姫百合瑠璃
【時間:一日目11:50頃】
【場所:スタート地点2(F-08の無学寺)】
【持ち物:デイパック】
【状態:健康、決意】
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