(なんなん? これは……) 姫百合瑠璃(086)は一人木に上って考えていた。 (なんで……殺し合いなんて……) 先刻の説明が頭から離れない。 (ひとり……だけ……) その言葉を聴いたときから、彼女は自分の姉を守ろう、と決めた。 最後には自分が死ねばさんちゃんは生き残れる。 貴明も、イルファもわかってくれる…… きっと、わかってくれる…… 先程、スタート地点から瑠璃ちゃんは一番最初に開放された。 彼女にとってとても運の良い事に、拘束されている中に姫百合珊瑚(085)はいた。 出て来る所が同じやから、ここにいればさんちゃんに会える。 他の人が出てくる人を待ち伏せしてもここなら分かる。 だから、はよ出てきて…… じりじりと時間が過ぎていく。 4……5……6……未だ来ない…… 幸い待ち伏せを画策するものはいないようだ。 7……8!来た! 「さんちゃん!」 木を駆け降りながら彼女の最も愛しい人の名を呼ぶ。 「! 瑠璃ちゃん!」 良かった。 でもここは未だ安心できない。後ひとり、出て来る。 「さんちゃん、はよ逃げよ!」 「にげる? にげるってどこに?」 「あっち!上から見とったけど、あっちには誰もいっとらんかった!」 「うん!」 「さんちゃんはうちが守ったるからな!」 「……瑠璃ちゃん……ありがとな……」 姫百合瑠璃 【時間:一日目11:50頃】 【場所:スタート地点2(F-08の無学寺)】 【持ち物:デイパック】 【状態:健康、決意】 - BACK